⾳質への効果

WELLFLOATを使うと、本来のスピーカーの性能を発揮出来、今まで聴いた事のない音に感動を覚えることでしょう。またWELLFLOATを使う前には音に濁りがあったということに気づくに違いありません。これほど具体的に効果が実証出来るオーディオ製品はありませんでした。
実際に音はどう変化するかと言うと、ひずみの低減により、音の輪郭が崩れず、透明感が上ります。きっと、はっとするような瞬間が現れるでしょう。低音は小型スピーカーではより豊かな低音を明瞭度を損なわず再生し、大型スピーカーは不必要な低音は抑制され大型ならではの重低音にきっと満足して頂けるはずです。

検証可能な、わかりやすい例をひとつ。
バッハ演奏で有名なピアニスト、グレン・グールドのピアノは特殊な調律をされていたようです。
彼の平均律クラヴィーア曲集の演奏録音を一般的なスピーカー設置で聞くと、目立った調弦のうなり(ビート)もなく、綺麗に聞こえます。しかし、ウェルフロートを使うと何もしない装置ではきれいに鳴っていた第1番C-dur(ハ長調)は3度と5度の重音でうなりが聞き取れ、逆に記号のたくさん付いた第8番Es-moll(変ホ短調)黒鍵ばかり使う曲では、うなりは感じられなくなり感動的に美しく響きます。これで特殊な調律であったことが顕著にわかります。

それでは、次に他の演奏家の録音と比較してみましょう。
同じ曲でもミエチスラフ・ホルショフスキやヴァレリー・アファナシエフの演奏録音では、グールドの録音とは逆に、第1番C-durではうなりはなく、第8番Es-mollはかなりうなりが出ているのが分かります。このように演奏家によって調律の違いが顕著に分かるのは歪が無くなったからです。

技術解説1 :機器〜床間の振動の断絶

あたりまえのように床とかスタンドの上に置かれたスピーカー、これで良いのでしょうか?

スピーカーの振動エネルギーは、スタンド、インシュレーター、スパイク等を通過しながら減衰していき、最終的には床から⼤地に⾄ってゼロになります。振動が伝わる過程の各段階において、それぞれの素材の共振によるサブハーモニックス(⾮直線ひずみ)即ち差⾳が発⽣します。ひずみが付け加わっていき、最終的な再⽣⾳はかなり⾊付けされたものとなってしまいます。直置きで⼒強さが増したように聴こえることがあるかもしれませんが、これは歪で特定の帯域が強調されたことによるものです。

この現象から逃れるには、スピーカーや機器の振動をスタンドや床から完全に分離する必要があります。

振動の影響を抑えるため、具体的にどんな⽅法が考えられるでしょうか?

① 上から吊るす:

良い⽅法ですが、⼤仕掛けになり現実的ではありませんし、吊るすワイヤーの素材、⻑さ、分割振動など、諸問題を検討しなければなりません。

② マグネットで浮かせる:

磁⼒は距離の⼆乗に反⽐例します。距離が遠くなると反発⼒が弱くなり、距離が近づくと反発⼒が強くなりますが、1mm距離が遠くなった場合の反発⼒が弱くなる⼒の強さと、1㎜距離が近づいた場合の反発⼒が強くなる⼒の強さは同じではありません。中点がないので、動作後に同じ位置に戻ってくることもありません。つまり、上に動くときと下に動くときの動作が同じではなく、プッシュとプルの動作が対称にならないため、これが微⼩レベルの歪となってしまいます。また、スピーカーを駆動するのも磁⼒線なので、別の副作⽤が出そうです。

③ ゴム、スプリングを挟む:

ゴム等の弾性のある物質は、変形によって振動吸収しますが、変形し始めるための⼀定の⼒が加わるまでは変形せず、微⼩振動は吸収しません。これにより三次元的ひずみを発⽣させます。また、スプリング等は共振現象を検討しなければなりません。

このように、理想的に浮かすことは決して簡単ではありませんが、WELLFLOATは「①上から吊るす」を⼩型化したような機構とすることで、副作⽤を最⼩限に抑制しながら、ボード内に収めることに成功した画期的製品です。

技術解説2 – 振り⼦運動とひずみの関係

何故、振り⼦運動でひずみが取れるのでしょうか?

まずスピーカーの振動板とキャビネットの関係性から考えてみましょう。

例えば、振動板を20g、キャビネットを20kgとした場合、質量差は1000倍です。

スピーカーの振動板による作⽤の⼒とその反作⽤がキャビネットに与える⼒で、作⽤、 反作⽤の⼒は釣り合います。

スピーカーから⾳が鳴っている時、振動板は質量が⼩さく、動きが⼤きく眼で確認出来ます。

反⾯、キャビネットは質量が重いので、振動板が動く⼒がかかっても、簡単には動きません。触れると振動しているのは感じられますが、⽬では⾒えないほどの微細なものです。これは質量が違うからです。

⼒は「質量 x 加速度」で、加速度は揺れの⼤きさ即ち動いた距離を単位時間で2回微分したものです。キャビネットは振動板の1000倍の質量があるので、キャビネットの動く幅は、逆に振動板の1/1000ということになります。これが⽬では⾒えないほどの微細な距離しか動かない理由です。

ただし、ここまではあくまでもスピーカーと振動板が理想的に動いた場合の話。実際の環境ではなかなかそうはなりません。なぜかというと、現実世界のスピーカーは通常、床やスタンドに接していて、キャビネットが⾃由に動けないからです。

スピーカーは床やスタンドに対して踏ん張りますが、その際に反発⼒に加えて床やスタンドの共振が乗ってきます。これによって歪みが⽣じます。

WELLFLOATをお使いいただくと、内部のカンチレバーによって全⽅向の振動が⽔平⽅向の振動に変換され、スピーカーのキャビネットが床やスタンドと無関係に、⽔平⽅向にのみ⾃由に動けるよう開放されます。これによって余分な共振からスピーカーを開放し、ストレスのない、理想状態に近づけます。

⼤砲を想像してみるとわかりやすいかもしれません。⼤砲には、発射時に⽣じる反動を軽減させるため、後ろ側に「駐退機」と呼ばれる装置がついています。発射時の瞬間的な反動を駐退機が吸収することで、砲台が動いたり壊れたりすることを防⽌します。スピーカーでもこれと同じようなことがミクロのレベルで起こっていると考えられます。

波形波グラフ図を参考にしてください。

振り⼦運動は揺れが⼩さいと線形的に扱えます。インパルス応答が正確になるため、歪みが発⽣しないことになります。

Tips : WELLFLOAT使いこなしのポイント

1.設置部分の摩擦について

WELLFLOATが正しく振り⼦動作するためには、上に載せる機器とWELLFLOATの間、さらに、WELLFLOATとその下の床やスタンドの間はできるだけ⼀体化していることが理想的です。スピーカーは前後に振動しているので、しっかりと密着していない場合、時間の経過によって位置がずれていくことがあります。密着していない箇所で発⽣する共振や、これによって⽣じるエネルギーロスにより、正しい振り⼦動作にならないため、効果が半減してしまいます。WELLFLOAT Lシリーズのモデルはスリップ防⽌のための表⾯コーティングがされており、たいていの機器にフィットするのでおすすめできます。また、スパイクを使う場合は、WELLFLOATと機器がしっかり固定され、横滑りしないことが⾮常に重要です。

2.アンプやプレイヤーなど、スピーカー以外にも効果がありますか?

WELLFLOATの効果があるのはスピーカーだけではありません。ターンテーブルやCDプレイヤー、あるいはハードディスクドライブなどの回転系をもつ機器に対しても効果があることが、多数のユーザーから報告されています。また、アンプやDAC、ケーブル類など、可動部分を全く持たない、電気が通っているだけの機器に使⽤しても、⾳質改善効果がみられるようです。この理由はまだわかっていませんが、電⼦の流れと振動は互いに影響し合っていると考えられています。

3.WELLFLOATを上下逆さまにするとどうなりますか?

WELLFLOAT内部には、縦振動を振り⼦運動に変換するため、U字型バネが内蔵されています。これを上下逆さまにしてみるとどうなるでしょうか。このU字型バネは重⼒を考慮して上側についています。上下逆さまに置いたからと⾔って故障することはありませんが、⾳質改善効果はなくなってしまいます。したがって、上下⽅向の裏表の置き⽅は必ず守ってください。上下が正しく設置され、⽔平が正しく取れていれば、⽔平⽅向の縦横、前後、斜めなどは機器の⽅向や設置場所の都合次第で⾃由に動かしていただいて⼤丈夫です。上下⽅向の説明については、以下の天井から吊ったスピーカー図を参考にしてください。